ブログ

  •   内田 保

滞納は市民からのSOS

西尾市の共産党市議団からの研修報告をお知らせします。

南知多町でもコロナ禍の中 多くの町・県民税・国民健康保険税の滞納者が増えています。滋賀県 野洲市の「債権管理条例」を学んで参考にしていきたいものです。

 

会派名 日本共産党西尾市議団 研修報告

1、研修の概要

(1)目的 滋賀県野洲市の「くらし支えあい条例」、「債権管理条例」について

(2)日時 平成31年11月30日

(3)講師 野洲市市長 山仲 善彰氏

(4)場所 草津市民交流プラザ

(5)参加者 前田修

2、研修内容と所感

全国的に有名になっている滋賀県野洲市の「債権管理条例」「くらし支えあい条例」について の研修に参加した。

滞納は市民からの SOS

「税金の一括納付を迫られた」「預金が差し押さえられた」など、様々な事情を抱え、地方税 や国民健康保険税を納められない方に対し、市による差押など厳しい徴収が強まっている。

 

 ところが、野洲市では、滞納は「市民からの SOS」として捉え、税金を払いたくても払えない人 こそ、行政が手を差しのべるべき人だとし、市長自ら「滞納を市民生活支援のきっかけにする」 「ようこそ滞納いただきました」と発言し、滞納者の自立を支援している。

 

野洲市は「差押による一時的な徴収よりも、生活再建を経て納税していただく方が納税額が大 きい」という生活再建優先の考え方で対応している。

 

「くらし支えあい条例」は、「市は、その組織及び機能の全てを挙げて生活困窮者等の発見に 努め、発見したときは、諸課題の解決及び生活再建を図るための相談に応じ、情報提供と助言、 その他の支援を行う」と規定している。

 

 市民生活相談課として、9人の体制で納税相談の他に、借金などの法律相談や失業や労働相談、 介護・福祉分野の相談を入り口に生活困窮者を見つけ、生活再建の支援を行っている。 新規相談者 179 人、就労支援相談 146 人、就職決定 96 人の実績をあげており驚きである。

 

 ようこそ滞納いただきました

 「市民の命を守るのが公務員の仕事」「市民からの SOS に気づいた人が生活支援課に情報を入れることが当たり前」野洲市の取組み状況を説明する市長に、「行政のあるべき姿を見た。西 尾市でも活かしたい」と感じた。

 

市長は「ようこそ滞納いただきました!!滞納は生活状況のシグナル」と言っていること!と述べ、滞納者を悪質なものと扱う西尾市とは違うのは、市長の考え方の違いにあるのではない だろうか。

 

 この考え方を基に、市役所職員が市民が困っていることはないかなどを常に考えて行動して おり、納税できない理由を滞納者に寄り添いながら解決して、納税できるようになるまで生活再建をしていくことをめざすのが条例の目的となっている。

 

市民相談課の『まちづくりの役割』は、伸びようとする市民や企業の成長を支える、困難な 状況にある市民や企業の自立を支える、秩序と安全を守ること →それが制度というもので『一人を伸ばせない、救えない制度は、制度ではない!!』と明記 されている。

 

この相談課には、納税推進課からの相談や高齢福祉課、こども課、保険年金課、学校教育課、 上下水道課、住宅課などと情報共有し、相談者の紹介や滞納状況の報告や納付書の作成などを 相談課に持ち込むと、経過報告や債務整理の状況などを各課に返すということをしている。他 にも、地域の方からの相談に出向き、相談にのっているという。

 

多重債務者にも寄り添い、調査してみると過払い金が多いことがわかり、取り戻すことで、納 税に結び付けることができることも多いとのこと。

滞納者が「優遇?」されていると言われることにもなりそうだが、それでもこの事業が進み 効果をあげているのは「市長の指示」があってのこと。この条例ができてから、「職員の意識 がかわった」とのことだった。

西尾市でも条例は制定できないにしても、野洲市の取り組みへの姿勢は大いに学ぶべきである。

 

 

PAGE TOP